「ジャニーズとジェンダー観の話」はめんどくさくないよ、って話

ここにきて、「ジャニーズのジェンダー観」が話題になっている。

 

正月の特番「関ジャニ∞クロニクル」の放送と、同番組に対する感想ブログがきっかけで、年明けからこの「ジャニーズのジェンダー観」に関する話題がSNS上で盛り上がって(?)いる。

 

私は関ジャニ∞というグループのファンなので、番組も見たのですが、(ファンでもこれはさすがにアカンやろ…)と感じる内容でした。

 

番組の内容がどうであったかは、きっかけになったブログにも詳細が書かれているので割愛しますが、

一言で言うなら「無邪気なくらいに無意識なジェンダー観と敬意の欠如」を露呈した番組だったと思う。

 

番組に関わる製作陣も演者も、誰もその「ヤバさ」にそこまで気付いてない。

もしかしたら、誰も純粋に「これが誰かを傷つけたり不快にさせるのでは…」とは殆ど思ってない。そんな空気を感じた。

 

ロケ経験値の高いメンバーも在籍していることから、「深夜、一人の女性に声をかけても立ち止まってはもらえないかも」という懸念は抱いていたのかもしれませんが、

どちらかというと、番組からのオーダーに応えるべく「この番組を少しでも面白くしなきゃ!」と真摯に取り組んでいたのだと思う。

 

そもそも、あの番組において、製作陣も演者も誰一人「誰かを不快にしてやろう」とは思ってなかったのではないかな、と私は考えています。

 

では、なぜ番組は「ジェンダー観と人に対する敬意が欠如している」と言われたのか。

 

それは、製作陣と演者の「圧倒的な想像力不足」によるもの、に他ならないのではないかな…と思っています。

 

「こうしたらこうなるだろう」

「こういう人にこれを言ったらこう思うだろう」

 

これらを"現在"に照らし合わせて考える想像力が足りなかった。

 

 

 

逆に

「こうしたらこうなるだろう」

「こういう人にこれを言ったらこうなるだろう」

も、

 

古いテレビの感覚に即した"テンプレ"が彼らの頭には経験として存在している。

 

 

一昔前のテレビの、

太めの女性がいればそれを笑いにしても良かったテンプレ。

女の人はみな、結婚をゴールだと考えているいうテンプレ。

女の人はみな、彼氏が欲しいと考えているというテンプレ。

女の人が好きになるのは、必ず"男性"であるというテンプレ。

ある程度の年齢になった女性は、大抵結婚していて"お母さん"という属性になっているというテンプレ。

 

など。

 

この"テンプレ"ありきで、テレビ番組は存在していた。

だから、「太めの女性」は笑ってもいい対象だったし、「結婚した~い」という女性をからかうのはOKだし、ある程度の年齢になって結婚はおろか、彼氏もいない女性は「何かあるのでは?」という位置付けにされた時代があった。

また、男性が「化粧に興味がある」なんて言えば、それに「おネエじゃないの?ニヤニヤ」とツッコまれる…までがワンセット、の時代。

 

 

 

 

 

ここで、「ジャニーズ」という人達についての話に変わりますが、

私の知る限り、ジャニーズのタレントさんは基本的に「習うより慣れろ」で仕事のイロハを習得する人達…というか、そういう教育方針の下に育った人達だと認識している。

 

ダンスなら前で踊るジュニアの後ろ姿から学び、バラエティなら番組に飛び込んでその場の空気と経験で成長していく…という感じ。

 

関ジャニ∞メンバーも、ジャニーズとして幼い頃から「習うより慣れろ」で成長してきた人達なのだと思う。

バラエティの現場においては、関ジャニ∞はジュニア時代からその「現場に飛び込んで覚え」た経験が人一倍だったのではないのかな…と想像します。

 

残念ながら、その時彼らの成長の場となったバラエティという「現場」は、上記の古い価値観による「テンプレ」だらけだったのではないかな、と思う。

 

彼らにとって、その古い価値観はいつしか、バラエティという戦場を生き延びるための「身体で覚えた財産」になっていたのかもしれない、良くも悪くも。

 

そこから月日は経って30代半ばの彼らになるわけですが、

私の想像を軽く超えるだろう彼らの多忙さにおいて、この「古い価値観」をアップデートする機会は少なかったのではないかな、と推測します。

また、芸能界でジャニーズのトップアイドルである…という環境は、世の中の変化を感じづらくなる一因にもなるのかもしれない、とも感じます。

 

 

想像を越える多忙さと、特殊な環境。

幼い頃からの経験と実績。

バラエティで評価されてきた自信。

 

あんなにカンが良くて、バラエティセンスの優れた人達なのに、

関ジャニ∞が、唯一「ジェンダー観」について欠如してしまったのは、こういう部分に原因があったのではないだろうか。

 

だからといって、私は「だからアップデート出来なかったのは仕方ない」とは一つも思っていません。

忙しさも環境も、アップデート出来ないことの言い訳にはならないし、あくまで私の推測でしかありません。

 

必要なアップデートはするべきだと思っています。

 

どこかで「アップデートしないのも個性。多様性を認めるなら、古い価値観をアップデートしない個性も認めるべき」という意見を見たけれど、それには賛同できません。

 

アップデートしなければならない理由は、

それが

「古い価値観だから」ではなくて

それが

「間違っているから(昔は間違っていると思われていなかった)」。

 

古い価値観でも、間違っていないものであれば、当然今も大事にされているはず。

淘汰されるべきは「間違った価値観」だと思っています。

 

だから、バラエティとしてテレビの電波で不特定多数の人に番組を届ける立場であるのなら、「間違った価値観」はアップデートが必要。

関ジャニ∞というグループについては、ひとりひとり本当に魅力的で、素晴らしい個性の持ち主達で構成されたグループだと思っているので、このアップデートがされれば無敵なのにな…と、ファンとしては歯痒く思っているところです。

 

それでも、個人個人で言ったら、間違いなくジェンダー観のアップデートをしているのを感じるメンバーもいます。

月曜から夜ふかし」での村上信五さんなんかは、数年前の発言と今の発言では、明らかにジェンダー観のアップデートがされていることが分かります。

 

人をサげたり、弄ったりするのがデフォルトの「夜ふかし」において、村上信五さんの抜け目ないフォロー発言は本当に素晴らしいと思っています。

それに関しては、彼のジェンダー観があるから「夜ふかし」は成り立ってる…と、ファンのひいき目無しに断言できるほどです。

 

「ジャニーズとジェンダー観」という話題に、SNS上では「あまり難しいこと言いたくない」とか「嫌なら見なければいい」とか、「文句ばっかり言ってると、テレビは何にも作れなくなる」とか、そんな声も聞こえてきましたが、

 

"ジェンダー"は難しくないです。

男であれ女であれ、属性による固定観念を持たないこと、と相手に敬意を持つこと。

これだけです。

それは女性だけを大事にしろ、という話でもないです。

「男の子なら泣かないの!」とか、

「男なら上半身裸くらい人前でできるだろ」とか、そういう属性による固定観念も無くしていこう、という話です。

 

忙しくても、話題になったニュースを自分以外の視点で考えてみたり、映画や海外ドラマをたくさん見るとジェンダー観は育ちます(これは超個人的決めつけですが、自信を持って言えることです)。

 

そうしていると、今回のようなことが起きたとき「何が悪いのか」が比較的明確になります。

すると、SNSでアイドルのジェンダー観についての議論が、避けなければいけないことでも、触れない方がいいことでもない…ということも分かりますし、

そんなに難しく考えることでもないと気付けます。

 

彼らが今回否定されたのはあくまで「ジェンダー観」だけです。

それを否定されたからと言って、彼らの全てが否定されたわけではありません。彼らの面白さ、音楽性の素晴らしさ、魅力…は、それで消えてしまうものではありません。

 

私たちは誰でも間違いを犯します。

間違った感覚なら修正すればいい。毎日そうやって人は折り合いをつけて生きています。

 

傷つけてしまった人がいるなら、誠意を持って謝罪して、これ以上同じことが起きないように自分の感覚を改める。

 

アイドルだけじゃなくて、全ての人がそうしているように、彼らを見守っていけたらいいと思いますし、番組全体が良い方向に進んでいってくれたら、と思っています。